こころ

私たちの心を落ち着かせてくれる効果のある食べ物に注目します。

「こころ」を落ち着かせる食べ物とは?

2016.10.21 高橋 千華

「こころ」を落ち着かせる食べ物とは?

私たちの身体は私たちが食べた物で作られています。それは内臓や皮膚などの身体のパーツだけでなく、私たちの身体の中で働くさまざまな物質についても言えることです。私たちの身体では、日々の生活を営むために必要な多くの物質が作られています。今回はそのなかでも、私たちの心を落ち着かせてくれる効果に注目してみたいと思います。

神経伝達物質の役割

私たちの体内で情報伝達は、神経伝達物質によってやり取りされます。神経伝達物質とは、神経細胞から出される伝達先の細胞を興奮させたり抑制したりする化学物質です。私たちの身体には100種類以上の神経伝達物質があるとされていますが、すべてが発見されているわけではありません。その中のいくつかは働きがわかってきています。

興奮と抑制

ところで神経伝達物質の働きには、「興奮させたり抑制させたり」と相反する作用があります。これは、ある時は私たちに興奮という刺激が必要であり、だからといってずっと興奮状態にあっては私たちの身体が疲れきってしまうので抑制に働く物質もまた必要であるということを物語っています。この興奮と抑制のバランスを取ることは、喜怒哀楽のコントロールにおいても、とても大切なことです。

心を落ち着かせてくれるセロトニン

心の安らぎに大切な神経伝達物質にセロトニンがあります。セロトニンは興奮や不快感を鎮めて、心のバランスを取ってくれます。感情を安定させる神経伝達物質です。セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られます。トリプトファンからセロトニンに変化する過程では、ナイアシンや葉酸、ビタミンB6、鉄などの助けが必要です。
アミノ酸を供給してくれる良質なたんぱく質は、肉・魚・卵・大豆・牛乳などから得ることができます。ここにビタミンB群や鉄を含む緑黄色野菜などを合わせて食べると良いでしょう。

興奮を鎮めるGABA

GABAはアミノ酸のグルタミンから作られ、血圧や血糖値、血清コレステロール値、中性脂肪値を下げる作用がある神経伝達物質です。グルタミンからGABAを作る過程ではナイアシンやビタミンB6の助けをかります。
GABAは玄米の胚芽部分に多く含まれていることが知られています。またGABAの働きに注目したGABAを配合しているチョコレートをご覧になったこともあるのではないでしょうか。
しかし残念ながら、GABAを摂取したからといって、そのままGABAの形で神経伝達物質として働くかというと、いささか疑問です。私たちは消化吸収の工程を経て栄養素を得て、代謝によって必要な物質に作り替えていきます。ですからGABAの豊富なものを摂取するというよりも、GABAの材料となる成分を含む食品を摂取することが大切なのです。こちらもやはり良質なたんぱく質と、ビタミンB群を含む食品の組み合わせが効果的です。

ビタミンB群についてまとめておきましょう

ビタミンB群は、全部で8種類あります。相互で助け合って働きますので、まんべんなく摂取することを心がけましょう。また水溶性の性質から体内にはとどまりにくいので、コンスタントな摂取が効果的です。
今回登場回数が多かったビタミンB6は、特にたんぱく質を体内で利用するには不可欠なビタミンです。神経伝達物質の材料となるアミノ酸をもたらしてくれるたんぱく質をしっかり代謝するために、不足なく摂りましょう。カツオやマグロにはたんぱく質とビタミンB6のどちらもが多く含まれています。トリプトファンを多く含むバナナはビタミンB6も多く含んでいますので、同じくトリプトファンを多く含む牛乳とバナナミルクにして飲むのも良いでしょう。
ナイアシンもよく出てきました。ナイアシンは私たちの体内でトリプトファンから合成されます。日頃からきちんとお食事をなさっている方は不足の心配があまりないのですが、お酒を飲むと大量に消費されてしまいますので、ストレス発散の飲酒は適量を心がけましょう。

まとめ

今回は神経伝達物質に注目して、心を落ち着かせてくれる効果を考えてみました。セロトニンを多く含む食品もいくつかあり、乳製品やナッツ類、大豆製品などが挙げられます。しかしGABAのところでもご紹介したように、私たちは食べ物を消化吸収してから代謝しますので、欲しい成分をたくさん含んでいる食べ物を食べたからと言って、必ずしも期待する働きをしてくれるとは限りません。
ですから皆さんには神経伝達物質を作る材料となる栄養素に注目をしていただきたくて、今回はいくつかご紹介しました。日頃のお食事のバランスを整えて、神経伝達物質を上手に作れるようになりましょう。